インタビュー記事

西馬一郎西馬一郎

Backlog World 2020 運営メンバーの西馬です。今回は新型コロナウイルスの影響でBacklog World 2020 の現地開催の中止を決定しました。現地開催できなかったのはとても残念ですが、開催に向け準備していたコンテンツを出し切ることを運営方針として決めました。実はこの記事、2月にコンテンツを準備していました。 Backlog World 2020 基調講演「教科書では教えないプロジェクトマネジメント」の佐藤先生にインタビュー。登壇のきっかけや参加者にお伝えしたいことをお聞きしました。Backlog World 2020 当日のオープニングを飾るはずだった基調講演について佐藤先生のお話をお届けします。

Backlog World 2020(=2/29 中止)で 基調講演をするはずだった佐藤先生にお話を聞いてきました。「プロジェクトマネジメント現場で試行錯誤しているプロマネに刺さる話、持ち帰ってもらえるような話をしたい」と意気込みを語ってくださいました。

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質問:佐藤先生はもともとSIer企業でお勤めになられていて大学教授になられたご経歴ですね

私は今、大学教員をしていますが、以前はSIerに所属して企業向けのシステム開発プロジェクトの世界に20年近くいました。当時は「プロジェクトはうまくいかないのがデフォルト」というような厳しい状況で、拠り所となりそうなプロジェクトマネジメントの教科書や参考書もほとんど無かった時代を試行錯誤しながらやってきました。そのような状況で、プロジェクトマネジメントとは一体何なのか、これからどうなっていくのか、常に自問自答していました。そして、その回答の中の1つの選択肢としてプロジェクトマネジメントの現場から2016年に大学に移って、プロジェクトマネジメントの研究・教育に携わるようになりました。

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質問:JBUG広島#2(2019/4)に参加されたと伺っています。参加のきっかけは?

実はBacklogというツールをあまり知らなかったのですが、IT界隈や私の周りでBacklogの名前を聞くことが増えてきたので関心を持って、どのようなものかを把握するためにJBUG広島に参加しました。

SIerでプロジェクトマネジャーをやっていた当時は、IT業界やSIerのツールは主に計画駆動型のもので、ある程度の昔世代の人でプロジェクトマネジメントやっていた人は分かると思いますが、スケジュールやコストを入れて予実を測るものが中心でした。今でもそういったツールは使われていますが、当時はBacklogのようなツールはほとんど無かったと思います。

Backlogは課題管理ツールという認識です。課題を洗い出してマネジメントしていくという姿はプロジェクトマネジメントの本質的なものなので、そういうツールに興味があってJBUGに参加したんですよ。

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質問: JBUG広島の印象はどうでしたか?

JBUG広島に参加されている皆さんは全体的に年齢層が若かったです。一般的にプロジェクトマネジメント関連のカンファレンスはマネジメント歴が長い参加者が多いので年齢層は高めですが、JBUGは30代の方が多数おられて若いなぁと思いました。これからプロジェクトマネジャーをやっていく人がいる感じでしたね。

 

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質問:(2/29に向けた)基調講演、特にどんな人に聞いて欲しいですか?

これからプロジェクトマネジャーをやっていこうという若い方、現在進行系でやっている方。特に若い人たちの気持ちに刺さる内容にしたいなと思っています。

大学教授のイメージからは教科書的な内容や理論を想像されるかもしれないですが、私は大学教員としては珍しく現場と理論の両方を知っています。現場経験と学術理論の両面を同じ目線と高いレベルで話せる人はなかなかいないと思いますので、そこにフォーカスしながら刺さる話をしてみたいです。古い世代の武勇伝的な話にはならないように、経験を踏まえながらも最新のマネジメントに対応した普遍的な理論、裏付けられた話をしたいと思っています。プロジェクトの現場で、試行錯誤している方々に有意義なものを持って帰ってもらいたいですね。

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質問: プロジェクトマネジメント協会など今まで登壇されてきたカンファレンスと今回(2/29)の登壇でお話されること、最大の違いは?

私はSIer時代から、プロジェクト現場の中でプロジェクトマネジャーのあり方をずっと考えてきました。2019年は、PMI 日本 フォーラム2019でリモートも含めると700人の参加者がいらっしゃるイベントで基調講演をさせていただきました。長くプロジェクトマネジャーをやってきた方々が中心で年齢層が高いフォーラムでした。

実は、PMIで講演する前にこの話を予行演習的にJBUG広島の人も含めた方々に聴いてもらったんです。年齢層が高い人にはかなり評判がよかったのですが、JBUGの30代の人に「佐藤先生の話はスケジュールやコストの話が全く出て来ないんですね」と言われました。その時、アカデミックな話は年齢層の高い人、つまり既にスケジュールやコストを承認したり、ダメ出しをできるような立場になった人たちと、現在進行形で現場の最前線で頑張っている人たちとの間には、マネジメントに対する意識や背負っているものに大きな乖離があることに気付かされました。

企業などでプロジェクトをやっている現場の本質というのは、スケジュールがどうなっているのかコストはどうか、これらが現場のプロジェクトマネジャーに突きつけられたリアリティルということですよね。そのような30-40代のプロジェクトマネジャーとして試行錯誤している人向けに(Backlog World 2020では朝イチの基調講演なので)目が覚めるようなエッジの効いた話をしたいです。大学だとたいてい朝イチの講義は寝てしまう学生が多いのですけどね(笑)。今回の基調講演では眠気が吹き飛ぶような刺激がある話をしますよ。

 

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質問:プロジェクトマネジャーを魅力あるポジションにするためにはどうすればいいでしょうか?プロマネってなりたがらない、先輩の背中をみて育つパターンが多そうです。

昔から、プロジェクトマネジャーは、大変なことばかりで、やりたくないという印象があるかもしれない。でもそれは全然違うと思います。今までの上司や先輩たちが、次の世代の人たちに対して魅力ある仕事に見せてこれなかっただけであって、本質をきちんと教えることができていなかったのだと考えています。

現代においてビジネスの世界では、スピード感を持って、時限的に期間を区切って試行錯誤を繰り返しながら、次々と課題を解決して行くことを強く要求されています。それはまさにプロジェクトマネジメントです。だからその中心にいるプロジェクトマネジャーの役割というのは、本来であればビジネスの花形なんですよね。

もしそうなっていないのだとしたら、過去から次の世代にプロジェクトマネジメントの本質がきちんと継承、教育できていないということです。昔からトラブルなどうまくいかない厳しい現場に耐えて耐えて、例えばライオンが自分の子どもを崖から落として這い上がってくるのを期待するようなやり方を私自身は経験してきましたが、これからの世代の人たちに対しては、決してそういうやり方は継承しません。今回はそういう古い世界に対するアンチテーゼとして話をしようと思います。当日の講演に期待して下さい。

 

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多岐にわたる質問に回答いただきありがとうございます。きょうはインタビューありがとうございました。先生のお考えやプロジェクトマネージャーの経験と理論を交えたリアルな話、とても楽しみにしています

 

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インタビュー記事をまとめている最中で新型コロナの影響拡大によりイベントは中止、その後、形を変えて、Backlog World 2020 はオンラインで開催することになりました。さらに、佐藤先生も昨今の状況に合わせてテーマを変えて登壇いただくことになりました。「プロジェクトリスク&クライシスマネジメント 」というテーマでますます楽しみですね。参加申し込みはこちら https://jbug.connpass.com/event/171485/